皮膚がん・悪性黒色腫に対する当科で実施可能な放射線治療

①根治的放射線治療

  • 癌の発生部位や大きさ等の要因で手術が困難な場合や、手術により機能や整容性が損なわれる場合に根治的放射線治療が有効です。特に基底細胞癌や有棘細胞癌に対しては、根治的放射線治療により病変の制御が高い確率で期待できます。毎日の通院が可能であれば外来での治療も可能です。進行期の大きな病変やリンパ節転移がある場合、また血管肉腫や悪性黒色腫では、放射線治療中に抗がん剤を併用することがあります。

 

②手術後の再発予防を目的とした放射線治療

  • 手術で摘出した皮膚がんの周囲への浸潤が強い場合などに、再発予防を目的とした放射線治療を行います。再発や転移を生じるリスクが高い場合には、抗がん剤を併用することがあります。

 

③少数個の再発・転移に対する救済的放射線治療

  • 手術後に再発した皮膚がんが限局している場合、また少数個(1~3個程度)の遠隔転移 (オリゴ転移を生じた場合に、薬物療法に加えて救済的な放射線治療を選択することが可能です。遠隔転移は肺の転移、リンパ節転移、骨転移などが対象となります。治療した腫瘍の高い制御効果が期待できます。特に5cm以下の少数個の肺転移に対しては、定位放射線治療(ピンポイント照射) が選択できます。

 

④脳転移に対する放射線治療

  • 脳転移を生じた場合に放射線治療が有効です。当院では、強度変調回転放射線治療(VMAT)を用いた定位放射線治療(ピンポイント照射) が可能です。患者さんに負担の少ない短い治療時間で、脳転移の高い制御効果が期待できます。

 

⑤緩和的放射線治療

  • 他の臓器へ転移を生じている状況では、緩和的な放射線治療が適応となり得ます。皮膚病変からの出血の止血疼痛の緩和が得られます。また、骨転移による疼痛の鎮痛や神経症状の改善といった症状緩和に有効です。緩和的放射線治療に必要となる放射線量は少ないため、治療に伴う副作用は軽微です。治療期間は2週間以内が多く、状況に応じて1回のみの治療も選択可能です。通院が困難な方は、放射線治療科で入院治療も対応させて頂きます

  • 悪性黒色腫では、免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を高める目的でも、放射線治療を追加することがあります。

 

⑥温熱療法 (ハイパーサーミア)

  • 当院では放射線治療や抗がん剤の治療効果を高める温熱療法を取り入れています。特に悪性黒色腫放射線治療が効きにくい腫瘍ですが、温熱療法を併用することで放射線治療効果の改善が期待できます。がんの存在する領域の皮膚表面を2方向からパットで挟み込み高周波電流を流して加温します。1回の加温時間は40~60分程度で、週に1~2回、放射線治療を行っている期間中に総5回程度行います。