top of page

オリゴ転移

少数の転移(オリゴ転移)に対しては、薬物療法に加えて放射線治療を行うことで、高い局所制御効果が期待できます。長期にわたる病勢の安定を目指します。

当院では、高精度放射線治療により、短期間で身体への負担が少ない治療を目指しています。

オリゴ転移に対する放射線治療の特徴

少数の転移に対して高い治療効果


・外来通院で治療可能


・治療期間は1-4週間程度


・日常生活への影響が少ない

以下の詳細説明をご参照下さい。​ 

(詳しく知りたい方・医療関係者向け)

 

 

オリゴ転移は、がんの広がりを示す言葉です。オリゴとは、“少数個“を意味します。  

 

がんが発生した場所にとどまっている状況と、がんの転移が全身の広範囲に多発する状況との中間の状況に相当します (下図)。  

 

厳密な定義は確立されていませんが、個数は局所治療が可能である3~5個程度までの病巣数が該当します。

図.png

オリゴ転移に相当するがんの状態 

​複数の薬剤を併用する強力な抗がん剤治療や、分子標的薬、免疫療法の飛躍的な進歩により、全身治療の効果が高まり、がんの転移が全身の広範囲に多発・進展することを抑制しやすくなっています。

 

このオリゴ転移の状況に対して、低侵襲で局在する病変への高い治療効果が期待できる ”局所治療” である “高精度放射線治療” の需要が高まっています。

高精度放射線治療は3cm以下の小さな脳転移に対する定位放射線治療から普及が始まりました。

現在では、脳以外の体幹部(肺、肝臓、骨、腎臓、前立腺、リンパ節など)に対しても、体幹部定位放射線治療(SBRT; Stereotactic Body Radiation Therapy)が普及し、保険収載されています。

高線量の放射線を用い、周囲の正常組織を損傷することなく腫瘍部位を正確に治療します (下図)。

CTやMRIなどの高度な画像ガイド下で、腫瘍位置と形状をマッピングします。最適な照射角度や放射線の線量分布を決定し、ミリ精度で治療します。

従来の放射線治療と比較し、高い治療効果が期待でき、非侵襲的な局所治療です。

外来治療でも行え、治療回数は3~10回程度と少なく、短期間で終了しますので日常生活への影響が少ないです。

図2い.png

脳および体幹部のオリゴ転移に対する定位放射線治療の線量分布図 

 

左上)脳に生じた2個の脳転移(赤色の部分)に大量の放射線をミリ精度で集中して照射します。

右上)2個の肺転移(赤色の部分)の場合です。

左下)肝転移(赤色の部分)にも同様に照射可能です。

右下)  脊椎の骨転移の場合です。 

 

他の臓器に転移を生じた場合には、潜在的に全身にがんが存在しうると推定し、全身の臓器を対象とした全身治療(抗がん剤、分子標的薬、免疫療法)を中心とした治療が行われます。

根治的な局所治療(手術や放射線治療)を行うメリットは乏しいと考えられていました。しかし、シカゴ大学の放射線腫瘍医であるWeichselbaumとHellmanらは、少数個に転移がとどまる“オリゴ転移”の状況では、局所治療を行うメリットがありうることを1995年に提唱しました。 

その後の基礎研究で、放射線治療を追加し腫瘍量を減量することで、転移能力を有するがん細胞クローンが減少することや、転移を促進するサイトカインの分泌が抑制されることが報告されています。放射線治療の追加によって、新たな転移が出現するリスクの抑制が期待される知見です。

また、放射線治療により局所のがんに対する特異的な免疫が活性化し、全身的な免疫の誘導を生じるアブスコパル効果が知られています。この特性をより活かすため、近年、広く普及した免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)との併用治療の開発に注目が集まっています。

近年、オリゴ転移に対する臨床試験が盛んに実施されています (下表)。様々ながんを対象 1)上咽頭癌 2)前立腺癌 3)非小細胞肺癌 4)などで、オリゴ転移の病態では全身治療に加え遺残する病変に対して放射線治療を追加する有効性が確認されています。

図7.jpg

 

臓器別の各種がんに対する治療法を科学的に評価した診療ガイドラインが作成されています。ガイドラインは、上述のような臨床試験の結果などを科学的に解析し、定期的に改訂が行われます。

最新版の肺癌、乳癌、前立腺癌、膵癌など臓器別診療ガイドラインでは、オリゴ転移の状況ではSBRTなどの局所治療の追加を検討すべきとする記載が加わっています。

当科でも、オリゴ転移に対する高精度放射線治療の実施に取り組んでいます。少数個のがんの転移に対する治療に関してお困りの際は、是非ともご相談ください。 

今後、研究が進み、どのような治療過程を経て生じたオリゴ転移か、また原発病巣の種類や組織型・遺伝子変異、転移の最大個数など、高精度放射線治療を追加するメリットの高いオリゴ転移の病態が、より詳細に解明されていくものと思います。 

がん種別の放射線治療の適応の詳細は、こちらをクリックして下さい。

​関連内容

bottom of page