悪性リンパ腫に対する当科で実施可能な放射線治療

①根治的放射線治療

ホジキンリンパ腫

  • 病変が限局している低-中リスクのホジキンリンパ腫では、化学療法を行った後にもともと腫瘍のあった場所や、化学療法後も残存している腫瘍に対して根治・再発予防を目的に放射線治療を行います。

  • 進行期の高リスクホジキンリンパ腫では、化学療法後を行った後に特に大きな腫瘍があった場所や残存している腫瘍に対して根治・再発予防を目的に放射線治療を追加します。

非ホジキンリンパ腫

ⅰ インドレント非ホジキンリンパ腫(濾胞性リンパ腫グレードI・IIなど

  • 濾胞性リンパ腫グレードI・IIを代表とする限局期のインドレント非ホジキンリンパ腫では、多くの場合は放射線治療のみで局所制御を得ることが可能です。しかし、放射線治療の範囲外からの再発や遅発性再発も少なくなく、場合によっては化学療法の追加も検討する必要があります。

ⅱ アグレッシブ非ホジキンリンパ腫

(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫グレードⅢ、マントルリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫など)

  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に代表される限局期のアグレッシブ非ホジキンリンパ腫では、化学療法後の地固め療法としてもともと腫瘍のあった場所や、あるいは化学療法後に残存してしまった腫瘍に対して、根治・再発予防を目的とした放射線治療を行います。

  • 進行期のアグレッシブリンパ腫に対しては化学療法後の残存病変巨大病巣への救済治療として放射線治療を追加する場合があります。

  • 上記リンパ腫は基本的に放射線治療の感受性良好で、高い確率で局所制御が期待できます。

ⅲ 成人T細胞白血病・リンパ腫

  • 成人T細胞白血病・リンパ腫は局所の放射線感受性は高いものの、白血病化しやすいため難治性です。多くの場合、成人T細胞白血病・リンパ腫については後述の緩和的放射線治療が主体となります。

節外性リンパ腫

ⅰ 中枢神経系リンパ腫

  • 60歳以上の患者さんの中枢神経系リンパ腫では、化学療法(メソトレキサート)と脳への放射線治療を併用することで、白質脳症と呼ばれる副作用を高率に生じるため、化学療法で寛解が得られている場合には放射線治療は行いません。若年の患者さんや、化学療法後に残存・再発を来した場合には脳全体に放射線を照射する全脳照射を行います。

   

ⅱ 乳房原発リンパ腫

  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の場合は化学療法後に、乳房全体および残存腫瘍に根治・再発予防目的の放射線治療を追加します。限局期のMALTリンパ腫の場合は乳房全体への放射線治療のみで治癒が可能です。

ⅲ 消化管原発リンパ腫

  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の場合は化学療法後に、発生した消化管および残存腫瘍に根治・再発予防目的の放射線治療を追加します。胃に発生するMALTリンパ腫ではヘリコバクター・ピロリ菌感染を原因とすることが多く、除菌治療が第一選択となります。ピロリ菌の除菌後も腫瘍細胞が残存する場合は胃全体に放射線治療を行います。胃MALTリンパ腫の放射線治療による局所制御率は90%を超えます。

ⅳ 鼻腔原発NK/Tリンパ腫

  • 鼻腔原発NK/Tリンパ腫は化学療法および放射線治療に抵抗性であり、限局期の根治治療では化学療法と放射線治療の同時併用が必要となります。放射線治療は原発腫瘍、両側鼻腔全体隣接する口蓋および副鼻腔を照射野に含む必要があり、照射線量も多くなります。副作用として、粘膜炎や唾液分泌障害、骨壊死などが生じる可能性があります。

  • 当科では強度変調回転放射線治療 (VMAT)と呼ばれる、高精度な放射線照射方法を採用しています。放射線治療後の唾液腺の分泌量低下や骨壊死などの副作用リスクを軽減することが可能です。

 

②全身照射

  • 骨髄移植の前に行う全身照射は、全身の腫瘍細胞を減少させると同時に、免疫抑制状態とすることでドナーからの造血幹細胞を受け入れやすくする効果があります。移植前に行われる化学療法の補助的な位置づけで行われる治療です。全身照射は骨髄移植の直前に1-3日間かけて行います。

 

③緩和的放射線治療

  • 進行期や再発した悪性リンパ腫に対して、腫瘍に伴う疼痛の緩和、出血の止血、神経症状の改善といった症状緩和を目的とした緩和的な放射線治療を行います。緩和的放射線治療で用いる放射線量は少なく、副作用は軽微です。悪性リンパ腫は放射線が効きやすいタイプの腫瘍であり、効果的な症状緩和を得られる場合が多いです。通院が困難な方は、放射線治療科で入院治療も対応させて頂きます

 

④ 温熱療法 (ハイパーサーミア)

  • 当院では、治療抵抗性性の悪性リンパ腫に対して、放射線治療や抗がん剤の治療効果を高める目的で温熱療法を取り入れています。がんの存在する領域の皮膚表面を2方向からパットで挟み込み高周波電流を流して加温します。1回の加温時間は40~60分程度で、週に1~2回、放射線治療を行っている期間中に総5回程度行います。