膵がんに対する当科で実施可能な放射線治療

①根治的放射線治療

  • 切除可能な場合の膵臓がんは手術療法が第一選択となりますが、手術が難しいものの遠隔転移がない場合、又手術を希望されない場合などに根治的な放射線治療を行います。病変局所への高い治療効果が期待でき、特に疼痛の緩和に優れます。

  • 当科では、強度変調回転放射線治療 (VMAT)を用いて、腫瘍への線量集中性と周囲の正常臓器 (胃, 十二指腸, 肝臓や腎臓) の線量を低減する高精度照射を実施しています。

  • 抗がん剤(塩酸ゲムシタビン, S-1など)を放射線治療期間中に同時併用すると有効性が高いです(化学放射線療法)。治療期間は、概ね5〜6週間程度です。さらに当院では放射線治療の治療効果を高める目的で温熱療法(後述)の併用が可能です。 

 

②少数個の再発・転移に対する救済的放射線治療

  • 手術した局所や腹部のリンパ節の再発、あるいは少数個(1~3個程度)の遠隔転移 (オリゴ転移)を生じた場合に、薬物療法に加えて救済的な放射線治療を選択することが可能です。遠隔転移の部位は、肺や肝臓の転移、骨転移などが対象となります。治療した腫瘍の高い制御効果が期待できます。

 

③緩和的放射線治療

  • 他の臓器へ多数個の転移を生じている状況では、緩和的な放射線治療が適応となり得ます。腹部の腫瘍に伴う疼痛黄疸や肝機能障害の改善、出血の止血、また骨転移に伴う疼痛神経症状の緩和を目的に行います。緩和的放射線治療に必要となる放射線量は少ないため、治療に伴う副作用は軽微です。治療期間は3週間以内が多く、状況に応じて1回のみの治療も選択可能です。通院が困難な方は、放射線治療科で入院治療も対応させて頂きます

 

④温熱療法 (ハイパーサーミア)

  • 当科では、膵臓がんに対して放射線治療や抗がん剤の治療効果を高める目的で温熱療法を取り入れています。がんの存在する領域の皮膚表面を2方向からパッドで挟み込み高周波電流を流して加温します。パット内の液体を還流させ、皮膚表面の熱感や痛みを抑えます。1回の加温時間は40~60分程度で、週に1~2回、放射線治療を行っている期間中に総5回程度行います。

 

膵癌に対するVMATの線量分布図。
赤色: 54Gy、黄色: 50Gy、青色: 30Gy。
治療標的の膵癌への線量増加と同時に、周囲の十二指腸、胃や腎臓への線量を低減し、十二指腸潰瘍・出血などの晩期障害の発症リスクを軽減します。
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