当科で可能ながん種別の放射線治療の適応
- 肺がん、乳がん、膵がん、食道がん、喉頭がん、咽頭・鼻のがん、甲状腺がん、悪性リンパ腫、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、腎がん、大腸がん、肝臓がん、胆のう・胆管がん、胃がん、脳腫瘍、皮膚がん・悪性黒色腫、小児脳腫瘍、小児固形腫瘍
食道がんに対する当科で実施可能な放射線治療
①根治的放射線治療
早期食道がん: ステ-ジ0-I
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内視鏡的治療での根治が難しい場合 (主にT1b)に根治的放射線治療を行います。
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抗がん剤を同時に併用する化学放射線療法が有効です。この化学放射線療法は手術療法と同等の成績が得られることが本邦の臨床試験で示されています。
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食道や胃がそのまま残りますので嚥下機能を温存でき、手術療法と比較し治療後の食生活の質の低下が少ないことが大きなメリットです。
切除可能進行食道がん: ステ-ジII-III (T4を除く)
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抗がん剤を先に行い、腫瘍を縮小させた後に手術療法を行うことが多いステージですが、根治的な化学放射線療法も選択可能です。
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手術療法を希望されない場合や、全身の状態が手術療法に適さない場合に行います。
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化学放射線療法では、完全奏効した場合に食道の嚥下機能を温存できるメリットがあります。
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当院では、放射線治療の治療効果の改善を目的に、温熱療法(後述)の併用を選択可能です。
進行食道がん: ステ-ジIII (T4)およびIVa (遠隔リンパ節転移)
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根治的な化学放射線療法を行います。T4 (隣接する臓器浸潤)が疑われる場合に、手術を前提として抗がん剤を先に行うこともあります。
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当院では上記の根治的放射線治療において肺や心臓などの隣接する正常臓器への放射線の照射線量を低減する高精度な照射手法”強度変調回転放射線治療 (VMAT)”を採用しています。
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心臓の機能障害や放射線肺臓炎などの副作用リスクの軽減が期待できます。
②手術療法後の再発予防を目的とした放射線治療
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内視鏡的治療や手術で摘出した食道がんの遺残がある場合や周囲への浸潤が強い場合などに、再発予防を目的とした放射線治療を行います。
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再発や転移を生じるリスクが高い場合には、抗がん剤を併用することがあります。
③少数個の再発・転移に対する救済的放射線治療
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食道やリンパ節(鎖骨上、縦隔や腹部)の再発、または少数個(1~3個程度)の遠隔転移(オリゴ転移) を生じた場合に、薬物療法に加えて救済的な放射線治療を選択することが可能です。
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遠隔転移の部位は、肺や肝臓の転移、骨転移などが対象となります。治療した腫瘍の高い制御効果が期待できます。
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5cm以下の少数個の肺転移や肝転移(オリゴ転移) に対しては、定位放射線治療 (ピンポイント照射)が選択でき、より高い腫瘍の制御により、下表のように無増悪期間や生存期間の改善が期待できます。
④脳転移に対する放射線治療
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脳転移を生じた場合に放射線治療が有効です。
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当院では、強度変調回転放射線治療(VMAT)を用いた定位放射線治療 (ピンポイント照射) が可能です。患者さんに負担の少ない短い治療時間で、脳転移の高い制御効果が期待できます。
⑤緩和的放射線治療
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他の臓器へ多数個の転移を生じている状況では、緩和的な放射線治療が適応となり得ます。
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食道がんによる嚥下困難の改善、出血の止血や疼痛の鎮痛、また骨転移に伴う疼痛の鎮痛、神経症状の改善といった症状緩和に有効性が高いです。
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緩和的放射線治療に必要となる放射線量は少ないため、治療に伴う副作用は軽微です。治療期間は3週間以内が多く、状況に応じて1回のみの治療も選択可能です。
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通院が困難な方は、放射線治療科で入院治療も対応させて頂きます。
⑥温熱療法 (ハイパーサーミア)
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当院では、食道がんに対して放射線治療や抗がん剤の治療効果を高める温熱療法を取り入れています。
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がんの存在する領域の皮膚表面を2方向からパットで挟み込み高周波電流を流して加温します。パッ ト内の液体を還流させ、皮膚表面の熱感や痛みを抑えます。
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1回の加温時間は40~60分程度で、週に1~2回、放射線治療を行っている期間中に総5回程度行います。